ゲームに熱中する人々がはじめてマスコミの話題となったのは、今から約30年ほど前に遡ります。当時は、ゲーム喫茶と呼ばれるお店が大流行しました。これは、通常の喫茶店のようにコーヒーや軽食などのメニューを提供するお店ですが、一つ違うのは、テーブルがゲームの画面になっていて、側面のボタンを操作することで、客が各自の席でゲームを楽しむことができるということです。この新しい娯楽スタイルは、たちまち人々の人気を集め、一日中お店に入り浸るような人が続出したために、大変な社会問題となりました。
勉強や仕事よりも、ゲームに熱中する人々が、初めて世の中に現れたのです。いったんゲームの面白さを知ってしまうと、人の欲求はどんどんエスカレートしていきます。わざわざゲーム喫茶に通わなくても、自宅で好きなゲームを楽しみたいというニーズが高まり、そうした要望に応えるかのように、テレビゲームの販売が開始されました。これが、ファミコンブームの始まりです。
クリスマスシーズンには、子どものためにゲーム機を買い求める親が店頭で行列をつくり、話題となりました。そして、これまで学校が終わったら外で遊んでいた子どもたちは、家に閉じこもってゲームばかりするようになりました。毎日ゲームをしないと気が済まないというゲーム依存症の子どもまで現れ、子どもの精神衛生上よくないと社会問題にもなりました。しかし、いくら教育や政治の現場でゲーム依存症が問題視されようと、子ども達の熱狂はおさまりません。
ゲームに夢中になりすぎて、一日中テレビ画面を見続けているため視力が悪くなってしまった子どもも続出しました。眼鏡をかけてテレビの前にかじりつきゲームをする子ども達の姿は、日本特有の現象として海外にも紹介されるほどの社会問題となりました。しかし、こうした社会問題をものともせず、未だにゲーム業界は隆盛を極めており、今ではゲーム機で育った世代のファンが増えています。